2日間に渡り、舞台技術ワークショップと制作ワークショップを開催しました。なかなか基礎から学ぶ機会のない分野であり、コロナ禍で学生演劇の現場では技術の伝承が途絶えているとも聞いたことが今回の企画の発端でした。改めて公演を行う上での土台となる仕事について知ることができ、とても有意義な機会となったと自負しています。
【舞台技術ワークショップ編】
今回のワークショップでは、札幌で舞台監督として活躍する上田知さんに、舞台の基礎知識と仕込みの際に知っておきたい点について教えていただきました。
まずは舞台独特の尺度である「尺貫法」についてからスタート。
続いては、舞台の仕込みの基本となる舞台の作り方を箱馬と平台を用いてレクチャー。安定感が増す箱馬の置き方、箱馬と平台の固定の方法、使っていいテープの種類、ビスと釘の使いわけなど、気をつけるべきことを説明しながら実際に舞台を組んでいきます。
POINT
作業中にわからないことは必ず聞く。憶測で進めて二度手間にならないように注意。
さらに、舞台にパンチカーペットを敷く際の注意点、蹴込の貼り方について、テープの種類と用途、釘を打てない時の対処法についても現物を用いてわかりやすく説明いただきました。


ビスは折れるが釘は曲がるので衝撃に強い

真ん中から放射状にならしていく
続いて照明機材の基本について。
灯体やケーブルの種類、名称、ワット数について解説からスタートし、灯体の吊り込みの仕方に続いて、劇場内に機材を設置し、明かりをつけてそれぞれの特徴を説明していきます。

重い機材には鉄のハンガーを使用

その後はリノリウムの敷き方について。劇場の備品を利用し、参加者も一緒に敷いてみます。

貼り方も注意
リノリウムを貼るためのテープはどんなものか、蹴り伸ばすしきかた、ダンスと演劇での敷き方の違いについて説明を受けながら実際に敷いていきます。

そして、照明の仕込みや高所作業に使用することの多い、脚立を利用する際の注意点。脚立の天板に立つのはNG、誰かが脚立に乗って作業している時に下で支えがちですが、これもケースバイケースで必ずしも必要ではないとのこと。舞台では建築現場での基準やルールが採用されていますが、知らないうちに違反をしたり間違えて覚えていることもありそうです。
劇中で火や水を使う時の注意点に続き、最後はケーブルの八の字巻をやってみました。なかなかコツがいります。

3時間に及ぶ長時間でしたが、参加者たちは都度メモを取りながら真剣に聞き入っていました。改めて知ったことも多く、定期的に開催していきたいと思うワークショップでした。
札幌演劇いまとこれから スタッフワークショップ
12月23日開催 講師:上田知(舞台監督) 参加者:14名